「郵便局長」(1966年/127分)

「人々の手紙をこっそりと読んでは孤独を癒す、田舎の郵便配達人」とチラシにあるが、その部分はあくまでも終盤にすぎない。都会人の主人公は田舎の郵便局長に任命されて、どうしてもなじむことができない。因習が強い田舎。特に性的なことに対しては非常に頑迷。それが最後の悲劇を引き起こす。ただ、あまり必然性を感じない。盗み読みした手紙を処分してしまったことで悲劇を後押しした形の主人公はラストで配達するはずだった手紙をことごとく破くが、なにこれ? 手紙をしっかり宛名人に渡さなかったことで悲劇を生んだのだから、それをまた繰り返すなんてナンセンスだ。なにもかもがいやになった、ということではあるにしても、そんな勝手なメッセージを発するために、発信者のなんらかの思いが詰った手紙を破り捨てるなど論外。