2006-11-01から1ヶ月間の記事一覧

板垣真理子『武器なき祈り』(三五館)

昨年初頭に購入した本を読了。すぐに読まなかったのはやはり冒頭、筆者である板垣真理子氏の夢に登場したフェラ・クティにとまどったからだ。筆者には、フェラ・クティと真っ先に接触し、だれよりもフェラのことを理解しているという自負があったのだろう。…

フィリップ・ゴーレイヴィチ(柳下毅一郎訳)『ジェノサイドの丘 ルワンダ虐殺の隠された真実』上下(WAVE出版)

映画『ホテル・ルワンダ』の記憶も新しい、ルワンダ大虐殺についてのルポルタージュ。隣りあって暮らしていた隣人、職場の同僚、学校の先生、かかりつけの医者、いつも買物をしている商店の主人、町長、牧師が、集団で殺人者になってしまうという衝撃的な事…

フォン・フランツ『永遠の少年』(筑摩書房)

とびとびで読んでやっと読了。それにしても手厳しい本だ。いちいち耳に痛いことばかり。「ごもっとも」「その通り」「ごめんなさい」と納得しつつ、永遠の少年性に由来するあらゆることが否定されているような気にもさせられる(もちろん、そんなことは言っ…

朱川湊人『白い部屋で月の歌を」(角川ホラー文庫)

二編収録されているうち、最初の「白い部屋で月の歌を」は第十回日本ホラー大賞短編賞受賞作。ていねいな書きぶり。最大の難点は人形がこのような端正な文体を駆使している必然性がまるでないことだ。ネタが割れてしまえば、えらく不自然。次の「鉄柱」もけ…

読書

ここ一週間ばかりに読んだ本。

『オフサイド』(イラン/2006/88分/監督:ジャファル・パナヒ)

最高! 全サッカーファン必見! サポーターに男も女もない。とは言え、差別されたイラン女性のたくましさ、活力、迫力、工夫になまじの男性はかなわないだろう。彼女たちの突進力はワールドクラス! 男性に化け、顔に派手なペイントし、時には軍服まで着込ん…

『スクリーム・オブ・アント』(イラン/2006/90分/監督:モフセン・マフマルバフ)

イラン人夫婦によるインド見聞記、という題材にまず面食らう。次に面食らったのは、映画の視点だ。まるで欧米人の視点みたいに、インドを不思議の国として捉えている。日本人の目からはごく近くに見えるイランにして、インドはかくのごとく不可解な国なのか…

『半月」(イラン/2006/114分/監督:バフマン・ゴバディ)

クルド人モチーフの四作目。闘鶏師? マコの景気のいい掛け声とともに快調に、クルド人音楽家たちの旅は続くかに見えたが、次々と不都合が発生し、シュールな展開が連続してのち、最後はなし崩しに破局に至る。いささかペシミスティックな気がしないでもない…

FILMeX2006

今日はそれぞれ楽しめた三本。

「オペラジャワ」(インドネシア/2006/120分/監督:ガリン・ヌグロホ)

歌と踊りのみによって象徴的に語られるストーリー。おおまかなところでは、妻の浮気を疑った夫が、権力者に対する反乱にかこつけて、その疑惑の人物を殺し、妻まで殺してしまう、という話? インドネシア(ジャワ)の豊かな芸能風土が存分に感じられる作品に…

「メン・アット・ワーク」(イラン/2006/75分/監督:マニ・ハギギ)

スキーに出かける途中の中年男四人が、断崖の手前に突っ立っている岩を見つけて、それをなんとか下に突き落とそうと悪戦苦闘、妻や元妻、通りすがりの人たちも加わって、ジタバタする話。キアロスタミが原案、というのが冒頭と最後の部分だけということが、…

「ハンモック」(パラグアイ/2006/78分/監督:バス・エンシナ)

登場人物は老夫婦の二人のみ。声もほかに場面によって息子、医者、兵士の三人が加わるだけで、原則的に二人の会話。あとは犬の吠え声か。固定カメラ。林の中のハンモック。畑。診療所。ときどき空のショットがさしはさまれるだけ。戦争に行った息子を待つ老…

FILMeX2006

今年のFILMeXは会社を有休とって今日と明日との二日。

近所の狭い丁字路で

近所の狭い丁字路で白い車が左折するのに苦労していた。自転車や通行人が周囲の壁に張りついて様子を見守っている。この道には慣れていないのか。ナンバープレートの文字が「上海」と読めた。だからなのか、と瞬時に納得しそうになるが、「上海」のわけがな…