『キス・オブ・ドラゴン』(クリス・ナオン監督/2001年/フランス・アメリカ)

派手な銃撃、暴力シーン、ジェット・リージャッキー・チェンばりのカンフー・アクションがあるにもかかわらず、主人公の寡黙さ、内容の暗さがあって妙に地味な印象。ヤク漬けにされたアメリカ人娼婦と、人質にされていた娘の再会によって、めでたしめでたしで全編は完結するが、この母子に明るい将来は示されていないし、主人公の中国人警官とのロマンスがほのめかされているわけでもない。どういう意図の下に製作された映画なのか? 主人公が負けてしまっては成立しない構造なので、いかにアクションが激しくてもスリリングさは皆無。そもそもジェット・リーリー・リンチェイは負けたことがあったろうか? いつでも正義の側にいて、優等生すぎてつまらない。一度徹底的に負けてもらいたい気がする。