ジャクリーヌ・タイエブ

中野の中古CD屋でWORLD棚を引っ張り出して眺めていたら、見覚えのある顔が現われた。ジャクリーヌ・タイエブだ。日本盤のCD、『ロリータ・チック'68』のCD本体に使われている写真と同じものだ。
CDのタイトルは『the complete masterwaorks of The French Mademoiselle』。裏には「Edition Collector●Versions Originales」「Totally remastered●Engkish & French●full biograhy inside」などと記されている。しかしジャクリーヌ・タイエブの名前はどこにもない。包装紙の一部が白い紙で覆われていて、そこになにかあるように見えたが、あるいはこのCDはフランスの「マドモアゼル」を集めたコンピレーション盤かとも思った。
だが、なにはともあれ、ジャクリーヌ・タイエブがジャケ写になっているCDを買わずにおられようか? 聞いたことのない曲が一曲でもあれば儲け物と思って買った。890円。

結論から言えば、ジャクリーヌ・タイエブの単独アルバム。アメリカ2002年発売のベスト盤。全15曲。日本盤14曲との重複を言えば、全曲重複。どういうことだ? アメリカ盤にだけ含まれている1曲は名曲「午前7時」の英語バージョン。
この14曲がジャクリーヌ・タイエブの全レパートリーでないことは、とあるサイトをのぞけばわかる。日本盤の発売は2001年、アメリカ盤が2002年。冒頭が「午前7時」であることは共通だが、あとは曲順が違う。ジャケットも体裁も共通点がない。たがいに関係がないのに、曲目が完全に一致しているのはなぜか? ジャクリーヌ・タイエブという存在はこの14曲(ちなみの最初の三枚のレコードにおさめられた全曲プラス2曲)で尽きていると日米両国の選曲者が期せずして意見の一致を見たのだろうか? 謎だ。

久しぶりに聞いたが、やっぱりジャクリーヌ・タイエブはカッコイイ。投げやりな態度、シニカルな観察、コケティッシュな立ち居振る舞い、優しい心遣い、すべてがいとおしい。どこかのサイトで誰かが書いていたが、「ロック好きの文学少女」という表現が一番しっくりくる感じがする。高校〜大学時代にあるいは同級生にいたかもしれない、いてほしいと願うようなタイプだ。