「影が行く」と映画

ジョン・W・キャンベル・ジュニアのホラーSFの古典的名作「影が行く」をやっと読んだ。だれが怪物でだれが人間かわからないで疑心暗鬼にさいなまれる様子はもうちょっと徹底すればディックだな。それを原作にした映画「遊星よりの物体X」は、よくできたこわいSF映画だった記憶があるが、そのリメイクのジョン・カーペンター監督「遊星からの物体X」は、原作の疑心暗鬼状況をより強調しているというので観てみた。原作とは怪物になる人選が微妙に異なるのは、原作の読者に対する心地よい「裏切り」だ。とは言えハリウッド製の娯楽映画なので、視覚上のショック、怪物のグロテスクさを強調するのはやむを得ないんだろうな。