『オランダの光』(監督:ピーター・リム・デ・クローン/2003年/オランダ映画/1時間34分)

17世紀のオランダ絵画に特徴的に「オランダの光」を探る長編ドキュメンタリー。平坦で単調な地平線、広大な鏡とも言えるエイセル湖による反射光、大気中に漂う水蒸気によるヴェールによって物の輪郭が柔らげられ、すべてが絵画的になる。気象の絶えざる変化もまた、光の多彩さを印象づける。慈愛に満ちた光。色を鮮やかに際立たせる光(イタリアでは光が強すぎて、色があせる)。絵画のことはとんと疎いが、この映像作品に捉えられたオランダの風景はまさに「眼福」と言いたい美しさにあふれている。いいものを観たなあ。
乏しいオランダの知識に追加事項。「水と空の国」「水面に漂っている国」「オランダ人は見るだけ(ドイツは歴史、イタリアは物語が立ち現れる)」