キム・ギドク2本

今まで見たことがなかったキム・ギドク作品を2本見た。早稲田松竹。「弓」「サマリア」。すばらしい。緊張感あふれる映像。見るものを離さないスリリングな展開。カタストロフの起こることが最初から必然つけられている、明らかにゆがみのある設定の提示がすばらしい。「弓」は終盤の展開が余計な付け足しに思えるのが惜しいか。老人が自分の生と引き替えに得た夢であるのはわかるにしても。「サマリア」の父親の行動はだれが見ても間違っていて、娘の「援助交際」から受けた衝撃の大きさを伝えることは成功しているが、どこかはぐらかされた感は否めない。人と人が関わる以上、売買春も「つきあい」の一形態であることに変わりはなく、死んだ娘も、売買春を最初は毛嫌いしていた主人公の娘も、そこになんらかの「つながり」を感じとった。そこにとどまらない大きな愛の可能性を示唆していたのが、リストを消化し終えたために、その閃きが閃きのままで終わってしまったような気が。あっ、監督の呼び名は「キム・ギドク」でいいのか? 英語表記はKim Ki Dukになっているが。