湯浅健二『日本人はなぜシュートを打たないのか?』(アスキー新書)

著者のHPで出版が告知されていたので購入。著者のいつものキーワードが横溢しているが、新味は著者のドイツ留学時代の経験が詳細に語られていることだ。その時に自らの日本人性に気づかされたことから、「日本人はなぜシュートを打たないのか?」という設問に対する答えを導き出そうとする。「シュートチャンスを作りだすためにチーム全員が汗をかくわけだけれど、そんなハードワークの集大成として、最後は一人の選手がシュートを打つという現実。その選手の肩にのしかかってくる心理プレッシャーの大きさは推して知るべしだ。/特に日本人が感じるプレッシャーの「量と質」は格別のはず。個人は社会や集団を協力して支える構成要員だと考える、集団主義的な性質が目立つ日本人は、一般的に一人で責任を負うことに慣れていないと言えるかもしれない」と、序文で既に結論は出ている。でも、本当なのか? 日本人選手がシュートを打たないのは本当に責任を負いたくない心性のせいなのか? この署では推測の域を出てはおらず、検証が欠けていると言えるだろう。