幸村誠『ヴィンランド・サガ』1〜4(講談社)

ちょっと気になっていたので購入。しかし、なんでこんなにノレないのだろう。11世紀のヴァイキングを描いて、話は普通に面白い。ただ、この作者の独特のクセが微妙になじめないというか。まず登場する戦士たちの強さが謎だ。戦闘シーンは十分迫力があり、箇々のアクションにも説得力があるが、裏打ちがされていない。父親の敵を倒すために当の敵につきまとう主人公は、いったいどこでこれほどの技倆を身につけたのか。その父親にしても、戦い方はまるで中国拳法。まあマンガだと言ってしまえばそれまでだが、ウソっぽすぎて鼻白む。登場人物がことごとく現代的にカリカチュアされているのも困りもの。当時生きていた人間の心の機微など正確にわかるはずはないが、この作者のマンガでは未知なるものと出会ってしかるべき場所にあまりにも既知のものしか存在しないのだ。出世作である『プラネテス』にしてもそうだ。あの作品では宇宙は限りなく平べったい。サラリーマンが遠距離赴任で出かけられる程度のものにしか見えず、センス・オブ・ワンダーのかけらもない。なじめないんだな。『ヴィンランド・サガ』、読むのをやめるか?