atユーロスペース『暗殺・リトビネンコ事件』(アンドレイ・ネクラーソフ監督/2007年/ロシア)

2006年11月23日、亡命先の英国で放射性物質ポロニウムを飲まされ毒殺させられた、元FSBロシア連邦保安庁)中佐アクレサンドル・《サーシャ》・リトビネンコの、その事件そのものを描いたものではなく、FSBがロシアにおいて犯した犯罪についてかねてからインタビューしていた映像を中心に構成されたドキュメンタリー。ロシアが殊にチェチェンでやっている悪行三昧はこのフィルムにも登場するアンナ・ポリトコフスカヤの著作によって大まかなことは読んでいたが、まさにその秘密警察に属していたリトビネンコの証言は説得力がある。ロシアは常に道を誤っているように見える。プーチンは大統領を退任後も、息のかかった人物を大統領に祭りあげ、自身は首相として残って影響力をとどめようとしている。これからどこにむかうかが見えないではないか。動くアンナ・ポリトコフスカヤは風貌こそ知的で厳しいが、話しぶりはどこかお茶目。笑顔が非常に魅力的な女性だった。このような人に限って亡くなるとは。