花輪和一の新刊!

花輪和一『不成仏霊童女』(ぶんか社
こんな作品があったとは知らなかった。『月刊ホラー』という、かなり読者層の限定された雑誌に不定期連載されていた表題作シリーズに、同誌および増刊に読切で載った短編をまとめたもの。
おぞましくかつ美しく、浅ましくかつ無邪気で、ばかげていてかつシリアスな花輪ワールドは健在。花輪の世界では悪人は必ずしも正当な報いを受けるわけではないが、「不成仏霊童女」のシリーズでは、なにか裏があるのじゃないかと勘ぐりたくなるくらい(そういう手も良く使う人なのだ)正面切って悪人が地獄に落ちることを訴えている。なにか心境の変化でもあったのだろうか? 読切短編では珍しく現代物を描いているが、だからといって毒が薄まるわけがない。ところで、小学館関係の雑誌に連載しているはずの『刑務所の前』はどうなったのか? 単行本は一巻が出たきりで、もうだいぶ日が経っている。連載は中断しちゃったか? まあ、それも花輪らしいと言えば言えるが。