カレル・ゼマン『狂気のクロニクル』

DVDで観る。去年、劇場(シアター・イメージ・フォーラム)で観て大変気に入った作品。
「特撮の時代」の作品群の中でも、『彗星に乗って』『盗まれた飛行船』などと同様、起伏の多いストーリーに従って作られた作品。完成度は低いかも知れない。けれど、好きな場面が多いのだ。€農夫ペテルが徴兵されようとしているとき、腰をかがめた二人の兵隊を足踏みにして(しかも段差が違う二段の!)、馬に飛び乗り逃げる場面。 王妃のドレスを踏んでしまったレンカをとっさにわきにのけて、城の道化がドレスを踏み、王妃から替わりに罰を受ける場面。¡城から抜け出そうとするところを取り押さえられたペテルが、兵士の剣の取っ手の部分をたわませて、兵士の胸を打つ場面。等々・・・その機転、遊び心、手近にあるものを活用するところにシビレル。