三省堂書店本店8階特設会場

ラファティの魅力を語る会だったはずが、もっぱら内輪ネタに終始し、それも文庫本の解説やSFマガジンの特集を読んでいれば大概わかっていることばかりで、せっかく本邦におけるラファティ紹介の第一人者である浅倉久志氏、ラファティを史上最高のSF作家とたたえた大森望氏、ラファティの処女長編を先ほど見事に(!)翻訳してのけた柳下毅一郎氏が顔を揃えながら、ラファティの話題ではさっぱり盛りあがらず、最後のほうは近頃出版界をにぎわせている(うう、出版界の「一部」を)河出書房新社国書刊行会の奇想作家異色作家のシリーズに話がおよび、とりわけアヴラム・デイヴィッドスンの話題では楽しい盛り上がりを見せ、浅倉久志氏の飄々とした物腰が好感を呼んだり、今後の出版についての耳寄りな話が聞けたりしたが、ラファティのファンとしては全体に激しく物足りない集まりだった。
まあ、無料のトークショーにそんなに文句をつけてもしょうがないが。
それにしても、もう少し新刊本の売上に協力してもよさそうなものだし、ラファティのことをもう少し語って、聴衆の、読者の関心をひくよう努力したってよさそうなものだ。
本邦におけるラファティ紹介に非常に尽力したこのお三方は、すでにラファティについて語ることを持たないように見えた。ラファティのこれからの出版についても、なんら希望のある見通しを聞くこともできなかった。ラファティの長編を評価せず、すでにラファティについてはやり尽くした観のある、長老の浅倉氏に若輩者二人が遠慮した?

こうなっては宝くじで大金でもあてて、ラファティの未訳長編の版権をごっそり買い取り、ラファティ長編邦訳最多記録保持者(井上央氏とタイ)柳下毅一郎氏をホテルにでも缶詰にして(ブリキ缶詰だ!)、全作を訳してもらうしかない!