未来少年コナン

リアルタイムで毎週ハラハラしながら待ちきれない思いで見て以来、いったい何年ぶりに観ただろう? DVD全7巻全26話。これを越えるアニメーションは決して現われないだろうが、もちろんちっとも残念とは思わない。「未来少年コナン」があるのに、ほかに何を望むだろう? 奇跡のような傑作。キャラクター造形の秀逸さ、巧みなストーリー展開、風の肌触り、褒める要素はそれこそ腐るほどあるが、今回見て感じ入ったのは、「思いの強さ」がストレートに肉体的な方向に爆発するそのカタルシスだ。細っこいコナンがおびただしい超人的な力を見せつけても、そこに「思い」の裏付けがあるから、見るものはそれをウソと感じない。「そんなバカな!」という反発心は瞬時に「こんなことやりやがった!」という痛快感に押しのけられ、爆笑しながらこの上ない爽快感を味わうのだ。半分の時間は思いつめたような表情をしているラナが、コナンに向かって全身を投げ出すシーンの解放感も忘れがたい。