『脳に烙印を!』(ガイ・マディン監督/カナダ/2006/95分)

ガイ・マディン作品は3年前のFILMeXで『世界で一番悲しい音楽』『ドラキュラ 乙女の日記より』、レンタルビデオで『ギムリ・ホスピタル』を観ただけ。印象はこれまでと変わらない。サイレントのモノクロ・フィルムに擬して遊び心たっぷりに練り上げられた趣味的な映画。初期のデイヴィッド・リンチとくらべられるが、あそこまで尖っていない。毒は薄い。孤島の孤児院(すごい、「孤」の畳み掛け)、エキセントリックな両親、美しい兄妹探偵の登場、島の秘密が、カットバックの多用、カリカチュアライズされた演技、いちいち効果的なBGMによって魅力的に描き出されるが、中盤を過ぎたあたりで早くも飽きてしまうのはなぜなんだろう? なにもかもが完璧に計算されすぎているからだろうか? 基本的に好きな映画なんだが、「大好き」とは叫べないのだ。