アニメ『電脳コイル』(監督・脚本:磯光雄/NHK教育TV)

Perfumeの記事を読むためにblog「小心者の杖日記」をときどきのぞいていたが、そのなかで熱烈にプッシュされていたので気になっていた。見てみたい、と思っていたら、教育TVで再放送がはじまったが、そうと気づいてスイッチを押したら既に初回の半分が過ぎていて、背景がうまく飲みこめなかった。翌週二回目を見て、「これは最初からきちんと見なきゃダメだ」と思い直し、レンタル店でDVDを借りた。三巻までで八話(発売されたばかりの四巻は貸し出し中だった)。冒頭から見始めて、最初から背景がそれほど緻密に説明されているわけではないことがわかった。序盤でずっと腑に落ちなかったのは、いわゆる「電脳体」がメガネの操作者の肉体と完全に合致していることだ。ヴァーチャルな空間に作りだす肉体だから、原理的にはいくらでも改変が可能なわけで、それこそ(なぜか今さらながら話題沸騰中の)ジョジョ・シリーズの「スタンド」のように、特殊な能力や独特なパーツを有した電脳体も夢じゃない。ただ、そうすると物語世界が大幅に変わってしまうことになるわけで、電脳のヴァーチャル世界に、今となっては懐かしい、すでに失われた子どもたちの世界を復活させるという意図は見事に実っている。すばらしいの一言。続きはまだ見れないのか、教育テレビの放送を一話一話追って行かなきゃいけないのか(うちのテレビはNHKの映りが悪く、普段は見ないのだが)、DVDが発売されるのを順次待たなきゃいけないのか(発売がまたノロノロ進行だ)、と思っていたところ、某動画サイトになんと全話がアップされていた! 画像小さいし、画質が悪いし、と及び腰だったが、「途中までちょっと見てみようか」とクリックしたら、もうやめられない。帰省前夜だというので連続再生して、九話から二十話まで見たところで夜の一時を回っていた。明朝は早いし、こんな小さい画面でクライマックス、フィナーレを見たくないと思ったので、そこでやめた。削除されるのは時間の問題だったし、それはそれでしょうがない、テレビなりDVDなり、「正式」な形で見ようと思っていた。実家のPCはブロードバンド環境になく、動画を見ることが不可能だった。東京に戻って件のサイトをのぞいたら、案の定削除されていて、覚悟はしていたものの渇望感が意外に大きくて驚いた。まさかあるわけないよなあ、と思いながら、別の某動画サイトをのぞいたら、なんと、そこにありましたよ! 各話が分割されていて、続きを見つけるのに手間取りはしたが、ついに全話見ることができた。傑作。これほど充実したアニメーションを見たのはエヴァンゲリオン以来だ(といっても、ほかになにかアニメを見たことがあるわけじゃないが)。ややリアリティに欠ける何人かのキャラクター設定や生硬なセリフ回しは今でも「惜しい」と思うが、全体としては文句なし。足早に見たのでまだ頭の中で整理ができていないので、また見よう。テレビでもDVDでも。ああ、おもしろかった!!!