若松湯

これまでに利用した銭湯の中で、現在使っている若松湯がなにげに一番好感が持てる。由緒正しいとかたたずまいが独特だとか屋根が瓦葺きとか店主が手品をたしなむとか、そんな目覚ましい特色があるわけではなく、脱衣所は大概の銭湯がそうであるようにいくつ…

ハンガリアン・フォーク・テイルズ

Aプログラム ケレシュテス・ドーラによる冒頭の三作「ムーン・フィルム」「マジック」「イチ、ニ、サン」がすばらしかった。人と生き物、植物、家、大地、空と次々と途切れることなく変容し続けて圧巻。アニメーションならではの作品。アニメーションの一つ…

チェコ・ファンタスティック・アニメーション

D ナンセンスプログラム 風刺が主体のアニメを集めたもの。絵柄も風刺内容も古くささが否めない。ただ目を惹く箇所は多々ある。「名声」で、煙突から吐きだされた煙が自在に変化するさまは純粋に発想の自由さを感じさせる。ポヤルによるパペット・アニメーシ…

アニメ

12/1日曜日映画の日 渋谷ユーロスペース 4プログラムあるチェコ・アニメのC・D2プログラムが上映中なので、当然続けて見るつもりだったが、時間を誤った。

マルジャン・サトラピ『ペルセポリス』??(バジリコ)

Wikipediaに手際よくまとめられていた(ペルシャ語表記削除)。 「マルジャン・サトラピ(Marjane Satrapi1969年11月26日 - )は、イラン北部、ラシュト出身の女性作家、イラストレーター。首都テヘランのカージャール朝の流れを汲む進歩的な上流階級の家庭に…

『食べよ、これは我が体なり』(ミケランジュ・ケイ/ハイチ/2007/105分)

ついでついでで観た映画。内容紹介を読んで気にはなっていた。「ハイチ系のミケランジュ・ケイの衝撃的な長編第一作。登場するのは白人の老婆とその娘、子供たちと黒人召使。幻想的な表現が見る者を圧倒する。トロント映画祭で上映」。ああ、しかし、こんな…

『ヘルプ・ミー・エロス』(リー・カンション/台湾/2007/104分)

何の予備知識もなしについでで観た映画だが冒頭にツァイ・ミンリャンの文字(漢字)が見えたときからいやな予感(この人の映画はちょっと苦手)。ツァイ・ミンリャン人脈の人らしい。破産し大麻を育て命の相談に電話し売店の娘および娘たちとイチャイチャし…

『ブッダは恥辱のあまり崩れ落ちた』(ハナ・マフマルバフ監督/イラン/2007/81分)

マフマルバフ・ファミリーの末っ子ハナによる初の長編映画。今回一番の注目作。タイトルはいうまでもなく父モフセン・マフマルバフの著書『アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない 恥辱のあまり崩れ落ちたのだ』に準拠している。まさにそのアフガニスタ…

『脳に烙印を!』(ガイ・マディン監督/カナダ/2006/95分)

ガイ・マディン作品は3年前のFILMeXで『世界で一番悲しい音楽』『ドラキュラ 乙女の日記より』、レンタルビデオで『ギムリ・ホスピタル』を観ただけ。印象はこれまでと変わらない。サイレントのモノクロ・フィルムに擬して遊び心たっぷりに練り上げられた趣…

第8回東京FILMeX

今年のフィルメックスは4本観た。23日金曜日祝日。

高沢皓司『宿命 「よど号」亡命者たちの秘密工作』(新潮文庫)

燃えあがる理想を胸に果敢に明日に飛び立ったはずの革命家たちを見舞ったあまりにもむごたらしい末路を描きだして見事。最近「カルト」団体についての本をいくつか読んだが(『別冊宝島「救い」の正体』、米本和広『カルトの子』『洗脳の学園』とか)、北朝…

幸村誠『ヴィンランド・サガ』1〜4(講談社)

ちょっと気になっていたので購入。しかし、なんでこんなにノレないのだろう。11世紀のヴァイキングを描いて、話は普通に面白い。ただ、この作者の独特のクセが微妙になじめないというか。まず登場する戦士たちの強さが謎だ。戦闘シーンは十分迫力があり、箇…

『ジダン 神が愛した男』(2006/フランス)

2005年4月23日のレアル対ビジャレアルの試合をまるごと収録。普段見ているサッカー映像とはまったく異なるもの。臨場感あふれる映像。息づかい、喘ぎ声、ボールを要求する声が聞こえる。遠目の映像がなければ、しかし、サッカーを見ている感じがしない。ジダ…

黒沢清『ドッペルゲンガー』

しっかりと書かれた脚本で、役者はしっかりと演技して、ドッペルゲンガーという魅力的なモチーフを扱いながら、こんなにつまらないのはなぜなんだろう。いろんな要素を詰めこみすぎて焦点が合っていない。終盤にやや誤解したかも知れない。主人公本人によっ…

アレクサンドル・ソクーロフ『穏やかな生活』(2001)

ソクーロフの作品中でも最も地味な一作かも。奈良県明日香村の、築百三十年の「優しく堅固な」日本家屋に一人住む、旧家の老女を描いたドキュメンタリー、というより映像によるエッセイか。それによって生計を立てているという和裁の作業をするところ、家を…

『ハウルの動く城』(宮崎駿監督/2004/日本)

うーん、なにがいけないのか。声優の出来がひとしなみに良くない。感情がこもってなくて平板。人選ミス? こんなんでいいのか? 火の悪魔カルシファーにしても、案山子にしても、愛されようというキャラクター設定をしすぎて鼻白む。動く城の設定自体はおも…

『ベアーズ・キス』(セルゲイ・ボドロフ監督/2002/カナダ・・・)

見損ねていた映画。事故で亡くなった、監督の息子セルゲイ・ボドロフJrが主演。主人公のローラが自分の所属しているサーカスに終始冷めた視線を送っているのが寂しい。実際、この映画で描かれるサーカスにはさほど魅力は感じられない。斜陽産業と言ってしま…

『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(ジョージ・ロメロ/1968/アメリカ)

実は見たことがなかったので見た。なんかへたっぴいだなという印象。いったん死んだ身であるゾンビが火をこわがるだの怪力を発揮するだの人肉を食らうだのありえないし。って言ったら身も蓋もないか。それにしても粗雑だな。

『ナチョ・リブレ』(ジャレッド・ヘス監督/2006/アメリカ)

ルチャ・リブレの世界を描いているということで期待大だったが食い足りない。けれん味がたりない。弱いレスラーということで最後の最後にやっと勝つという設定だが、自覚的にご都合主義を打ち出しているにしてもあまりにも説得力に乏しい。残念。

Perfume

Perfumeが第一特集の「Quick Japan vol.74」を購入。Youtubeとニコニコ動画で動画を何本か見てすっかりファンになった。ファーストアルバムも購入した。●曲がいい→コンピューターシティ、エレクトロ・ワールド、チョコレート・ディスコ、SEVENTH HEAVEN等が…

DVDへんないきもの

書籍で紹介されている変な生き物の実物を見せてくれる、ありがたいDVDだと思ったが、筆者の早川いくををまじえて、コメディ仕立てに作ったもの。ちょっとふざけすぎ? 実物を見せるだけでも十二分におもしろいだろうに。

今日の動物

・道路の端に固まっていた羽四羽のスズメ。近づくと一斉に飛び立って、それぞれ異なる軌跡を描いて別方向に消えていった。小さな体で激しい羽ばたき。滑らかで自由な軌跡。 ・道路をいきなり横切っていったカフェオレ色の仔猫。尻尾が妙に太くてまるでキツネ…

DVD『受取人不明』(キム・ギドク/韓国2000)

なんなんだこいつはすげえなおい七十年代在韓米軍を巡って繰り広げられる若者たちの物語で登場人物がことごとく破滅する。どぎつく極端で美しくおぞましく一瞬たりと目を離せない。

スチュアート・サミュエルズ『ミッドナイトムービー』(2005/カナダ)

ユーロスペースで見逃したやつ。70年代アメリカで深夜上映し大ヒットをおさめた、いわゆるカルト映画の監督及び関係者に対するインタビュー。ホドロフスキーは男前だなあ。みんな快活でヴァイタリティーがあふれている。リンチだけは憂鬱そうだが。ジョージ…

山下敦弘『リンダリンダリンダ』(2005/日本)

ペ・ドゥナが出演しているので観てみた。高校生の等身大の日常を積み重ねて淡々とストーリーが進む。テレビドラマ的な作りでないのがいいが、やや食い足りないか。ペ・ドゥナは存在感があって、ペ・ドゥナ抜きにはこの映画は成立しないと思った。

ヴェルナー・ヘルツォーク『キンスキー 我が最愛の敵』(1999/ドイツ・イギリス)

公開時に映画館で観たが再び鑑賞。印象は昔と変わっていない。キンスキーは間違いなく強烈。理不尽でわがままで気取り屋で神経質で小心者。友人にはなりたくないタイプ。一方のヘルツォークは静かに狂っているというか。一時期キンスキーを殺そうと思ったと…

R30「オシム」木村元彦−イラク

ニコニコ動画で木村元彦が国分太一らの司会で旧ユーゴスラビアとオシムのことを語るテレビ番組の録画を見たが、話の内容自体は木村氏の本で触れられている十分に詳しく語られていて目新しい話が聞けたわけではなかったが、最後に木村氏が最近追っているイラ…

帰省

帰省 えきねっとで予約したはずが、みどりの窓口に行ったら帰りの切符しか予約されていないというので、改めて行きの切符を予約したが、すでに指定席は相当埋まっており、結局東京駅を1656 に出発する便しかとれなかった。下北に着くのは大湊線で最終になる2…

三宅乱丈『イムリ』1・2(エンターブレイン)

まさかのSFファンタジー。まだ全体像が見えてこないが、念入りに考え抜かれた世界観、複雑な人間関係、権謀術数。おもしろい。続きが楽しみ。

五十嵐大介『怪獣の子供』1・2(小学館)

それにしてもこの画力は圧倒的だな。光、陰、温度、湿度、空気・・・感覚の感じるあらゆるものをまるごと捕らえようとするかのような描線。その場に一気に連れていってくれる。ものの見方を変えさせるほどの力がある。身近にある景色をより魅力的にリアルに…