カボチャって猫の名前だったんだな。『リトル・フォレスト』では女性を主人公として、自身の実体験を反映させた著者の実際の生活の一端が垣間見れて興味深かった。
ドイツ、オランダの自転車優先の町づくりはたしかにスバラシイ!
四人のキャラクターを当分に描いているわけではないので、小説としては公平ではないな。著者は明らかに小人ホーの立場に立ち、必要な結論に導こうとしている。簡潔で力強く、素直に心に訴えかけてくるので、それは成功しているのだが。小人ヘムの優柔不断、…
先の『荒野の宗教 緑の宗教』に対する一つの回答、決意表明とも言えるべきものか。「恵まれています」「裕福です」と挑発的な言辞が並ぶ終盤は先進国の読者を責めているかのような観がある。しかし、そこで後ろめたさを感じたところで、出てくるメッセージが…
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の唯一神教三教と、インドのヒンドゥー教、仏教を比較したもの。筆者は「緑の神学」である肯定神学、日本に根付いたような神仏習合の思想に希望を見出している。厳格で他者排他的な一神教の内部から、今のところ希望の光は…
ジョウント効果に基づいた世界を見事に作りあげているとは言えるが、ジョウント効果をメインテーマとした作品ではないのが不満か。ストーリーが性急すぎ、場面場面が十分に咀嚼し切れていない観がある。主人公ガリー・フォイルの復讐心、執着、怒りもうまく…
文章の密度、迫力、リズム感はすばらしいな。スピーディーな展開で最後まで飽きさせない。希代の悪役であるはずのベン・ライクが直接自分で手を汚すのが、やや違和感。派手な重火器がドンパチする最近のSFアクション映画を見慣れた目には、アクションシーン…
まさかまさかの思ってもみなかった邦訳『ゴーレム100(乗)』を読む前に、アルフレッド・ベスターをおさらいすることにした。
なんと、いつ出るか出るかと待ちわびて、ひょっとして連載は中断しているのかと思っていた『ヒストリエ』の新刊を書店で発見。相変わらずおもしろい。リアリティがある、と言っても、古代ギリシャの実際に即しているかどうかはわからない。自らを文明人と思…
著者のHPで出版が告知されていたので購入。著者のいつものキーワードが横溢しているが、新味は著者のドイツ留学時代の経験が詳細に語られていることだ。その時に自らの日本人性に気づかされたことから、「日本人はなぜシュートを打たないのか?」という設問…
学級崩壊を積極的に評価しようという、おもしろい試み。現状の「学級」を解体しないことにはこれからの教育は見えてこないということ。もっともな議論。この本の出版は1999年だが、今の教育はどうなってるんだろう?
同じ文庫の『自分は死なないと思っているヒトへ』を先に読んで、そのつながりで読んだ。いつもながらタメになるなあ。文章も平易だし。「なるほど」とすんなり納得するよりも、これまで思いこんでいたことがあっさりひっくり返されてギョッとすることが多い…
実に久しぶりに読んだデューン・シリーズ。今回はこのシリーズの名物の一人であるベネ・ゲセリットが主役。ダンカン・アイダホのイキのいいゴーラも、砂漠に戻ったかつてのアラキスに現われた、砂虫を操る少女シーアナも、ここでは脇役でしかない。もう一つ…
DVD。間延びしている。いい話にしようとしすぎている。終盤に出てくる(予告編で耳に馴染んだが、映画ではこの部分しか出てこない)「ちょっといい感じ」を狙った歌にしても。この映画の元になった「実話」では長男が妹を殺しているが、この長男と関わった人…
山形浩生の『新教養主義宣言』文庫版を読んでいたらこの作品のことをえらく褒めている文章にぶつかり、そう言えば最後までキッチリ読んでいなかったような気がして中古の文庫本を購入して通読したのだが、冒頭の刀自古のかわいらしい走り、池から這い上がっ…
リアルタイムで毎週ハラハラしながら待ちきれない思いで見て以来、いったい何年ぶりに観ただろう? DVD全7巻全26話。これを越えるアニメーションは決して現われないだろうが、もちろんちっとも残念とは思わない。「未来少年コナン」があるのに、ほかに何を望…
黒田硫黄の表紙に惹かれて本屋で手に取ってみたが、この著者、なんと『幻の怪獣ムベンベを追え』を執筆した張本人だと言うではないか。しかも、集英社文庫には既に本書も含めて六冊も収録されているではないか。通勤電車で降車するのも忘れるくらい夢中にな…
「わらべうた」の一種としての「マザーグース」を少しでも知ろうと思って読みはじめた。「子ども部屋の押韻詩」を意味する「ナーサリー・ライム」というのが通称のようで、だったらその表現で統一してもらいたいものだ。日本ではアメリカ経由の「マザーグー…
「ゲーム、ネット依存」が薬物依存に等しい危険性を有しているということを脳内現象に即して説明し、自身のものを含む臨床結果と豊富な統計によって裏づけるというのが前半の展開。あまりにもスッキリしているのが逆に腑に落ちないところだ。統計が恣意的に…
たしかSFマガジンの書評で絶賛されていたので読んでみたのだが、どれもこれも今ひとつ詰めが足らないという印象。焦燥感を駆り立て恐怖を盛りあげるテクニックがあるというのはわかる。「七階」などはそのテクニックが遺憾なく発揮されていて、主人公が次第…
ずいぶん前に一度読んだノンフィクションを再読。この本を見るまではそんな場所があるとも知らず、そんな人たちがいるとも知らず、食い入るように読んだが、最終的に一抹の物足りなさをおぼえたのが、再読してもやっぱりそうだ。モグラびとたちの悲惨な来歴…
名前だけは知っていた児童文学の名作だが初めて呼んだ。かわいげのない子どもと言い、苛酷だったり冷淡だったりする環境と言い、謎めいた展開を交えて読ませる読ませる。動物と話せ、植物のことならなんでも知っているディコン少年の存在は作者の願望が勝っ…
サブカル系の軽く読み流せるツッコミ本かと思いきや、最初はそういう体裁だったのが、最終的には世界征服のむなしさ、うまみのなさが露呈する結論に至る。子どものころですら「世界征服」なるものになんら引かれることのなかった身としては感情的にはわかっ…
最近読んだ本。
ロバート・ケネディその人ではなく、RFKが当時かもしだしていた希望のオーラのただなかにいる人たちを描いている。やりたいことが多すぎて、全体がしっかり噛みあっていない印象があり、取って付けたようなせりふ回しがやや鼻につかないこともなかったが、最…
タイトルを見て、心になにかしらの傷を抱えた男女が紆余曲折するラブストーリーだろうなと思って、普通ならまず観ない映画だが、冒頭の単純な毎日を繰り返す心を閉ざした女性の描写を見て一気に引きつけられた。主人公のハンナが休暇でどこかの物寂しい町に…
飯田橋ギンレイにて。どちらも内容は知らないで、あまり期待もしないで、へたな映画観て疲れるよりは何時間か喫茶店に座って読書でもしていたほうがいいかなあと迷った上で入館したが、いやあ、観て良かった感激した。映画っていいもんですねえ!
口が顔からはみ出しているし、火星人たちのセリフはうめき声だし、キャラクターはちっともかわいくないし、結局なにを主張したいのかわからないし、なんとも珍妙なアニメーション。
初めて観た、西部劇以外のセルジオ・レオーネ。おもしろすぎて上映時間が二時間半もあったとは思えない。特にチビッ子役者たちの好演もあいまって少年時代は充実している。不良少年ヌードルスと美少女デボラの距離関係がすばらしい。出所後の青年ヌードルス…
ロストロボーヴィチのことはそれほど詳しくは知っていなかったつもりだが、このドキュメンタリーを見たあとの印象はこれまでとまったく変わっていない。開けっぴろげで誠実でお茶目で、誠に愛すべき人物。妻であるガリーナ・ヴィシネフスカヤのことは逆にほ…